「旦那さん帰ってきた?」
「まだ。ウチの夫はどっかの誰かさんと違って働き者だから」
「じゃあもう一回くらいしたら良かったね」
「死んじゃうからやめて」
「そんな激しかった?」
「やばかったよ」
「初めてってくらい?」
「かもね」
「またしようね」
「だからやなんだって」
「前も言ってたじゃん。なんでまたしたの?」
「別に。気の迷い」
「ぶっちゃけ旦那とどっちが良かった?」
「そんなのわかんないってば。今日もメールも終わり」



高木の携帯で嫁とそんなやりとりをした後、俺は高木の家を後にした。
その後も意図的に遠回りをしたり、用も無いのに本屋に寄ったりして、
結局家に着いたのは10時くらいだった。

晩飯を要らないと言ったのに、嫁はなぜか俺の好物を作って待ってくれていた。

考えると俺もメシを結局食ってないままなので、丁度良いと嫁の用意して
くれた食事をとることにした。
嫁もまだだったようで、一緒に食べた。
嫁はちらちらと俺の顔を伺っていた。
ご馳走のことといい、声も明らかに上擦っているのでわかりやすすぎる。
もし本当に隠れて浮気されてたら、一発でわかっていただろう。



日中高木の腕の中で悶え続けていた嫁は、やはりとても綺麗に見えた。
嫁を抱きたくて仕方なく、さっさと風呂に入ると、珍しく嫁が一緒に入ってきた。
背中を流してくれて、そのままフェラまでしてきた。

その流れで浴室で立ちバック。
初体験の時のように無我夢中で、とにかく犯すようにがむしゃらに腰を振った。

その後浴槽の中で対面座位でつながった。
初めての経験だった。
とても狭くてろくに動けなかったけど、その分嫁と密着できて、一つになれたという幸福感に包まれた。

高木と抱かれた後の嫁は、H中に俺のことをじっと見つめるようになった。
悲しそうというか辛そうというか、何か言いたげな顔にも見える。
あとしきりに「愛してる」と言葉を投げかけてくれるようにもなった。



それから数週間後、数日間泊りの出張が出来た。
出発当日、朝早いのに嫁は駅まで見送りにきてくれた。
俺が出発した後、通常勤務中だった高木に「今夜遊びに行っていいですか?」とメールを嫁に送らせた。
嫁の返事は「駄目」の一言だった。

やはりそれは何度経験しても、安堵と落胆を同時に感じる。
高木は一言謝罪を込めたメールを送り返し、そして素直に諦めた。

俺はその結果を新幹線に揺られながら、やはり喜ぶべきなんだろうなと自分を納得させた。

しかしその日の夕方、出張先での仕事を終えてホテルに戻ると、高木からの報告メール。
3時過ぎくらいに嫁からメールが来たらしい。
「高木君のとこでだったらいいよ」と。



「でも旦那さんから家電に掛かってきたらまずいんじゃ?」
「ああそうだね。でも高木君が来るの誰かに見られたらまずいよね?」

そんなやり取りを何度か交わし、話し合った結果結局二人は、真夜中に二人でラブホに行く事に決まった。

高木の部屋だとアパートの住人に顔を見られるかもしれない。
当然嫁と知り合いの住人など居ないだろうが、万が一のこともあると二人は考えた。
俺の家で、という選択も同様の理由で却下。
というよりも、何よりもう既に一度してしまったとはいえ、嫁はやはり家ですることに抵抗があるようだった。
俺としては、自分の寝室で他の男に抱かれた嫁は、これ以上ないほど愛おしく感じるだろうと思う。
もちろん異常性癖だとは理解している。

とにかく、深夜ならもし家電に出れなくても寝ていたで済むし、俺の家でも高木の部屋でも駄目なら
そこしかあるまいということだった。



それからは深夜になるまで落ち着かなかった。
すぐにセックスが始まってしまうならともかく、時間の猶予があるのは逆に辛かった。

いつも通り興奮とともに激しい焦燥感や後悔に襲われて、何度も高木に中止の連絡をしようと
携帯を開けては閉じてを繰り返した。
嫁にも高木のもとへ行ってほしくなくて、自分のことを考えててほしくて、
なんてことの無い内容のメールを送ったりした。
「戸締りはしっかりしろよ」とか。

電話は掛けれなかった。
どうしても嫁の声が聞きたくて、これから他の男に抱かれる嫁の声が聞きたくて、何度も
掛けようとしたんだけど、部屋の中で「あ、あ」と発声練習したら、自分でも驚くほど震えていたから。

そのまま悶々とした時間を過ごした。
過ごしたというよりは耐え抜いたという方が正しいかもしれない。
でも酒に逃げようとは思わなかった。その状態を楽しみたかったから。



俺がそうやって一人うずくまっている間、高木と嫁はメールのやり取りをしていた。
勿論高木は逐一リアルタイムで俺に嫁と自分のメールを転送してくれた。

「どこのホテル行きましょうか?」
「任せるよ~」
「今までで一番お気に入りのところは?」
「え~、別にそんなのないけど。じゃあ○○かな。綺麗だし」

俺はその一文だけで心臓を鷲づかみされる感覚に襲われた。
嫁とは何軒かラブホに行ったが、○○なんか一回も行ったことがない。

「旦那さんとのお気に入り?」
「違うよ。夫とは一緒に行ったことない」

その一文で、興奮とは別の意味で慌てた俺は、高木に連絡を取り、これ以降は
俺が作った文を高木に送って、それを嫁に転送してもらった。



「へ~、元彼?」
「ん、まぁそんな感じ」
「歳は?」
「上」
「格好良い?」
「うん。すごく格好良かった。見た目がっていうか雰囲気が」
「いつごろ付き合ってたの?」
「夫と付き合う前だよ」
「何で別れたの?」
「秘密」
「何で?いいじゃん。教えてよ。」
「いいじゃんそんな事」
「じゃあ今夜しながら聞こ」
「やめて。多分我慢出来ないから」
「なんで?そんな俺いいの?」
「正直ね、最初した時やばいって思った」



「良かった?」
「うん」
「旦那より」
「どうだろね」
「じゃあ今日もいっぱいしよっか?」
「本当に?大丈夫かな。途中で気絶しちゃうかも」
「そんなに気に入ってくれたんだ」
「駄目なのにね。やっぱりやめようか?なんか怖いな」
「何が?」
「あたしあんまり恋愛経験なくてさ。そのうち本気になっちゃいそう」
「マジで?」
「うん。高木君ね、ちょっと似てるんだ。そのすっごい好きだった元彼に」



実はその元彼が誰かはなんとなくわかっていた。
俺と付き合いだす前の嫁には、すごい仲が良かった、というよりは
仕事でお世話になっていた先輩社員がいて、傍目から見てても嫁が
その人に尊敬以上の眼差しを向けていたのはわかっていたから。

付き合っている時に、一度尋ねてみたことがある。
それに関しては嫉妬という感情は全く無い。
元彼など居て当然だし、ただ知りたかっただけ。
でも嫁は否定していたが、今でもそうだったんじゃないかと思っている。

その先輩は俳優の阿部寛に似てる。
外見上は高木が似てるとはあまり思えない。
俺は阿部さんと親交がなかったので、内面的にはよく知らないから
その辺が似てるのかもしれない。
ちなみに阿部さんはだいぶ昔に結婚&転職しているので高木は面識ないはず。



とにかく嫁と高木のそんなやり取りで、俺の焦燥感は限界に達していた。
二人が会う約束は翌日の12時半だったが、その時11時くらいだったと思う。
「おやすみ。愛してるよ。隣に君がいないのが寂しい」とメールを送った。
返信には数分かかった。いつもならすぐ返してくれる。
その程度の待ち時間でも気が狂いそうだった。
部屋の隅に座り、ずっと携帯の画面を睨み続けていた。
やがて嫁専用の着信音が鳴った。
「あたしも。愛してる。早く帰ってきてね」
俺は携帯を握り締めて、抱え込むようにベッドで横になった、

すると更に10分後くらい。高木からもメール。
「京子さんからやっぱりもう止めよってメールきました」
その画面を見て、俺は無意識にガッツポーズと万歳を繰り返していた。
ひとしきりはしゃぎ終わると、またベッドに倒りみ、自己嫌悪に陥りながらそのまま眠っていった。



気がつくと陽が昇っていた。7時ごろだった。
携帯を取るチカチカと光っていた。
高木からのメールが何通も溜まっていた。
24:00「ちょっとムラムラするんでもう一回誘ってみます」
24:15「だめですね。返信無いんで『約束した時間と場所で待ってます』とだけ送ってみました』
24:45「寝ちゃいました?やっぱり京子さん来ないですね」
26:00「一応報告です。今○○さん家でやってます。詳細はまたあとで報告します」
27:00「すいません。泊らせてもらいます」

寝起きでぼけっとしていた俺の頭は上手くそれを捉えることが出来なかった。
ただ「今起きた。わかった。報告待つよ。仕事は行けよ」だけ返信。
特に失望や怒りはなかった。
「ああ」と声が漏れただけだった。



その日の昼、高木から電話があり、そこで簡単に報告を聞いた。

結局嫁は待ち合わせ場所には来なかったそうだ。
ただ収まりがつかなくなった高木は直接家を訪ねたらしい。
しかし嫁は黙って高木を家の中に招き入れた。
玄関先で高木の顔を見た嫁は、困った顔でため息をついて、数秒の間を置いて
無言で高木の手を引いて中に戻っていった。

その後は、殆ど会話もなく、玄関先の廊下で立ったままお互いの衣服を激しく剥ぎ取り
そして立ったままつながったそうだ。
その際、嫁は異常なほど濡れていたうえ感度も良く、そのことを問いただしたら
高木から来る直前までオナニーしていたとのこと。
それも高木のことを考えて。
高木に抱かれたいが、俺への罪悪感で実際会いに行くのは憚れる。
だからせめて、ということだったらしい。



その後は、リビングやお風呂でもしたとのこと。
ただ嫁は、最後まで寝室ですることは頑なに拒み続けたらしい。
3回したとのこと。
最終的にはリビングに布団を持ってきて、二人で寝た。
しかし朝起きると、嫁は布団から抜け出していて、ソファで寝ていたとのこと。

朝も押し倒そうと試みて、朝メシ準備中の嫁の後姿に抱きついたが、包丁片手に
仕事に行けと笑顔で説教をされて断念したらしい。
しかし、粘りに粘って、行ってらっしゃいのキスをしてもらったと高木は興奮冷めやらぬ
口調で言っていた。
あと「家を出る時、人目には過剰なくらい気をつけました」とも。

その日の昼間、嫁からは何度もメールがあった。
「ちゃんと食べてる?」というたわいの無い内容から、愛を囁くものまで色々だったが、
どちらにせよ勤務中にそんなメールを送ってくるのは初めてだった。



俺が帰るのは翌日だったため、高木はその晩も直接家に訪ねた。
この時が、スレに初めてレスした時。

昼間に高木から何度メールを送っても、嫁からの返信はなかったようだ。
だから「10時に家に行きます。人目には十分気をつけます。インターホンを連続で5回鳴らします。もし嫌なら出ないで下さい」
とだけメールを送り、そしてそれを実行した。

嫁は高木を受け入れた。
やはり寝室でのセックスだけは拒んだらしいが。

前もって高木と打ち合わせした通り、挿入中の嫁と電話で話すことにも成功した。
立ちバックだったらしい。
当然嫁は激しく嫌がっていたらしいが、俺からの着信が鳴り止まぬなか、
しつこく挿入したまま「絶対動かないから」と約束したら漸く電話に出てくれた。



嫁のその声は少し上擦っているというか、ほろ酔い加減の時の声に似ていた。
俺は俺で、初めて女の子に告白した時のように緊張していた。

「もしもし」
「もしもし」
「今大丈夫?」
「ん、どうしたの?」
「いや、声聞きたくなって」
「そか、うん、あたしも」
「何かあった?」
「え、あ、ううん。大丈夫だよ」
「そうか」
「うん」

これだけ喋ると、沈黙が流れた。



この電話の先の嫁には、他の男のちんこが挿入されていると考えると
嫉妬で勃起がとまらず、自分のちんこを握りながら喋っていた。
俺は俺で口調でおかしかったのかもしれないが、それはお互い
冷静な状況ではなかったので、問題にはならなかったと思う。

俺は高木への嫉妬で、何の脈絡もなく嫁に気持ちを伝えた。
「あ、あのさ。俺さ、お前と結婚できて良かったよ。愛してる。大好きだから」
「・・・・・・あ、あたしも」
「ちゃんと言って欲しい」
「愛、してる」
「そろそろ作ろうか」
「え、あ、うん。・・・子供?」
「うん。いや?」
「や、じゃない。うん。ほ、ほしい」
後で高木に聞いたところ、この時嫁は自分から高木に押し当てるように
腰をゆっくりと振り出したらしい。膣もぎゅっと締まっていたそうだ。



ただゴムを外したいという高木の要求には断固として拒否したらしく、
またそんな要求をしてしまったことを、高木は俺に正直に詫びてきた。

「それじゃ。おやすみ」
「う、うん。お・・・やすみ」

最後のほうでは、嫁の声にはふーふーと風邪を引いているかのような、
息苦しそうな鼻息が少し混じっていた。

高木は約束を守り、挿入を継続するだけでピストンはおろか愛撫も一切しなかったそうだ。
それが余計に、膣内にある俺以外のちんこを意識させてしまったのかもしれない。

自分の様子がおかしかったのではないかと訝しんだ嫁は事後、高木に
「実はすごいお腹痛かったってメール送ったほうがいいかな?」と相談したらしい。
結局それは逆におかしいと却下になったそうだが。



高木の携帯ごしに嫁の喘ぎ声が聞きたいという欲求もあったが、万が一にもバレる
危険もあるし、なにより正直なところ、実際その声を聞くのが怖かったこともあり止めた。
一人高木に抱かれる嫁を想いながら、何度もオナニーをした。

それからは、もう嫁は高木に抱かれていない。
この間書き込みしたように、高木からもう止めたいと申し出があった。
前から気になってる娘がいるし、なにより、これ以上続けるのが怖くなったとのこと。
俺は当然の感情だと思い、その申し出を受け入れると同時に、高木に感謝と謝罪を伝えた。

「もう京子さんの手料理はご馳走なれないんですよねぇ」と残念がっていたが
「ほとぼりが冷めたらまた招待するよ」と言っておいた。
俺と高木の関係は特に変わっていない。



俺と嫁にも問題はない。
ただ、この間、いつものように夜の営みを終えたあと、嫁はシーツから目から上だけ顔を出して
「もう終わり?」と冗談っぽく、物足りなそうに言ってきた。
当然燃えて再戦した。
嫁はHに関しては淡白だと思っていたので、その言葉はより一層興奮した。

高木から「彼女(本当はまだ付き合っていない)が出来たから・・・」と
真正直に伝えられた嫁は、むしろほっとしたように
「そか、大事にしてあげなよ。お互いこの事はもう忘れようね」と答えていた。



実はまだ、少しだけこの関係の余韻を楽しんでいる。
というのも高木には嫁に「一応彼女できたから、万が一メールする時はこっちでお願いします」
とフリーメールのアドレスを嫁に送らせた。

そのフリーメールは俺が取得したもので、つまり俺が高木になりすまして
嫁とメールをしている。

嫁の阿部先輩との関係や、俺への不満などを聞けだせたらなと思っている。
それについては、もし成功したらまた報告します。