前回書いたとおり、嫁が高木に抱かれた後も、夫婦関係には特に支障は見当たらなかった。弊害といえば、嫁が過剰なくらい優しくしてくるのがちょっとむず痒いかったがそれくらい。

当然また高木に抱かれてほしいと思ったけど、その前に危惧していることもあった。
俺が浮気しているという誤解をされたままということだ。

それに対しては少しづつ信頼を得ていくしかなかった。
前回書いたように出来るだけ早く帰り、入浴の時などに携帯を無造作に置いてチェックするよう仕向けた。結局その辺は嫁の中でどう消化されたのか、いまだにわからない。

高木には口説きを続行するよう頼んでおいた。
方法は全部メール。
高木と嫁のやり取りはほぼリアルタイムで携帯に転送してもらっていた。
そして携帯で確認したらPCに転送&保管しておき、携帯のは消去という流れ。
ちなみにメールを送って良いのは平日の昼間というか勤務中のみとしている。
俺と嫁が一緒に居る時間だと、嫁が挙動不審になっちゃうだろうから。

嫁が浮気した数日後、俺は高木にいくつかの質問を嫁に送ってもらった。


Q浮気って初めて?
A当たり前だよ。

Q正直気持ちよかった?
A普通。

Q俺(高木)のことどう思ってる?
A弟分。

Q旦那は気づいてそう?
Aそれは大丈夫だと思う。だからもう絶対駄目。

Qなんでしちゃったの?
A気の迷い!はいもう終わり。さっさと仕事戻りなさい。

Q今でも旦那の浮気を疑ってる?
Aわかんない。でも何か知ってるなら教えてよね。

Q本当に浮気してたらどうする?
A人のこと言えないからね・・・どうしたらいいんだろうね・・・

Q離婚もある?
Aあたしからは絶対無い。

Qどうして?
A無いったら無いの。



それと嫁からも高木に提案。
「今後は家に招待されても来ないでほしい」とお願いしていた。
俺自身にはそんなこと要求していない。
「それは俺に言われても・・・」と高木。
「上司に誘われたら断りづらいのはわかるけど、夫の前でどんな顔で高木君と喋ればいいかわからないの」
「わかりました。善処はします」

「俺京子さんの料理結構好きだったんで残念です」と高木は心底残念そうだった。
「いつか二人の時に作ってもらえばいいだろ」と提案したものの、不思議なもので
他の男のために手料理を作る嫁は心底見たくないなと思った。
抱かれている姿は目の前で見たいとすら思うのに。
とにかく高木を家に誘うのはこれ以降止めた。


あと余談になるが、高木は当初、どうも俺のことを疑っていたらしかった。
というのも、自分の嫁を抱いてくれと頼んできて、その嫁は俺の浮気を疑っている。
となれば高木の立場からすれば、俺には別に女がいて、嫁と別れたいから逆美人局
みたいなことをやろうとしてるのでは?という疑念があったみたいだ。

そんな疑問を、会社帰りに二人で飲んでいるとき高木からストレートにぶつけられた。
俺は馬鹿馬鹿しいと鼻で笑ったが、よくよく考えると成る程なと思い、高木が納得するまで
世の中にはスワッピングとか寝取られという性癖があることを飲み屋で熱弁した。
高木もやがて納得してくれたが、それでも俺の嫁を口説くことに抵抗があるようだった。

「やっぱ先輩や京子さんに悪いって思っちゃって」
先日嫁を抱いた時も、俺と嫁への罪悪感でいまいち燃えれなかったらしい。


「京子さんの事も考えてあげてくださいよ?」と説教までされた。
「そうか。嫁はそこまでして抱く価値は無い女だったってことか」と俺は半ば本気でガッカリした。
「いやそうじゃないですけど」
「正直お前的に何点だった?」
「え?京子さんですか?そりゃ100点ですよ。頭良いし美人で最高の奥さんじゃないですか」
「そうじゃなくてさ。実際抱いてみて、女としての話だよ」
「いや勘弁してくださいよ」
「言えって」
「はぁ、まぁぶっちゃけ良かったです。でもやっぱあんま乗り気になれないですよ」
「フェラはしたんだよな?」
「まぁちょっとだけですけど」
「どうだった?」
「ん~、京子さん多分ちゃんとやってなかったと思いますよ」


そんなこともあり、高木と嫁のメールはちょくちょく続いてはいたものの、その内容は
あくまで日常会話の範疇で、「また会って欲しい」というようなメールに対しての嫁の返信は、
一貫して素っ気無いものばかりだった。
「じゃあなんでメールはしてくれるの?」という問いに対しては
「夫の友人だから邪険には出来ない」というようなことを返していた。

嫁が高木に抱かれて一月ほど経った。
嫁と高木の間に大きな展開こそないものの、軽い日常会話程度のメールは続いていた。
その間、俺は高木を家に招くこともなかったので、嫁と高木は顔を合わせていなかった。
そんなメールだけの関係というのが功を奏したのか、やがて嫁もだいぶ気楽に高木とのメール交換を
行うようになっていった。
それこそ多少の下ネタなら大丈夫なくらい。


そんな中、高木に「○○さんと俺のセックスってどう違います?」とメールを送らせたところ
「え~、やっぱり硬さかなぁ。どうだろ、わかんない」と答えていた。
そこで少し突っ込んだ質問をさせた。

Q今までの経験人数
A秘密。

Q付き合った男
A秘密。

Q一番気持ちよかった人。
A秘密。

Q俺は何番目くらいに良かった?
A本当馬鹿だね。しょうがないな。多分結構上位だと思うよ。わかんないけど。

Q旦那は?
Aうるさい馬鹿。

Q俺とどっちが上?
Aそんなの比べられません。

Q旦那のHで不満なところ
A無いよそんなの。あ~でもな~、う~ん。実はちょっとだけある。

Qなに?
A秘密。大したことじゃないよ。

Q正直何年も一緒だとHは飽きない?
Aあたしはそうでもないよ。

Qじゃあ何が不満?
Aいい加減仕事しろ。


あくまでHに関してのみだが、俺の微妙な評価に落胆するも同時に興奮してしまった。
今まで被虐趣味があるなんて思ってもなかったのに、そんな自分が可笑しくてしょうがなかった。

とにかく嫁は、あくまでメールだけの関係という事に安心して、高木に心を少しづつ打ち解けていったようだった。

そんなある日、高木が体調不良で会社を休んだ。
昼過ぎくらいに高木に電話をすると、割ともう元気だとのこと。
大きな案件を終えたばかりだったので、もしかしたらサボりだったのかもしれない。
高木は基本的に真面目なんだが、有給はきっちり消化していくタイプだ。

俺にはこの状況を想定して、前から暖めていたアイデアがあった。
嫁をお見舞いに行かせる。
まさか本当に実践できる機会があるとは思っていなかったので、思わず小さくガッツポーズをした。
本気で風邪をこじらせていたなら、伝染させたくないので絶対に行かせなかったけど。


早速嫁に電話をする。
「もしもし。今日って昼間用事ある?」
「無いよ。なんで?」
断りづらいように、先に暇という言質を取っておく。
「高木が寝込んじゃっててさ。悪いけど様子見に行ってやってくんない?」

おそらく忘れ物を届けてほしいとか、そんなことを予想してたのだろう。
嫁の反応は「・・・え?」と戸惑いを隠せないものだった。
「なんか結構しんどいらしくてさ。嫌ならいいけど」
後で考えると、嫁は俺の「嫌ならいいけど」に過剰に反応してしまったのかもしれない。
断るのは逆に怪しまれるんじゃないか?なんて。

それは流石に俺の考えすぎかもしれないが、とにかく嫁は俺の申し出を了承した。
その直後、高木から、嫁のとのやり取りが転送されてきた。



「寝込んでるの?」
「はい」
「御飯食べた?」
「まだです」
「旦那に頼まれたから御飯くらい作りにいってあげるよ」
「マジですか?」
「でもただのお見舞いだから。勘違いしないでね」
「わかってますよ。ありがとうございます」
「風邪?」
「いや、ちょっとダルくて」
「病院行った?リクエストある?」
「大分良くなったんで。お任せします」

そんな普通のやり取りが終わったのが13:00くらい。
1時間後後に嫁から俺にメール。
「今高木君のアパート着いたよ」
さらに30分後、「御飯作って食べさせたよ。もう帰るね」



その後、高木からはなんの連絡もなかった。
なんだ、本当にお見舞いしただけか、と落胆しつつ仕事を続けた。
しかしもうそろそろ定時かという時間に、高木から
「今京子さんシャワー行きました。電話良いですか?」とメールが来た。

その不意打ちに膝がすとんと落ちそうになり、そして同時に一瞬で下腹部がカッと熱くなった。
急いで外に出て、周囲を気にしながら口元を手で押さえながら高木に電話。
「やった?」
「2回終わったとこです」高木は早口でそう呟き、更に続けた。
「今日○○さん残業とかないっすか?もし良かったらもうちょい」
「わかった。嫁には俺から連絡しとく」



その後嫁に「今夜は残業で遅くなるかも。早くても9時だと思う。晩飯も社員食堂で食ってくわ」とメール

しばらくして「え~ご馳走の予定だったのに~。わかった。気をつけて帰ってきてね」と嫁の返信。

さらにその後高木。
「じゃあ9時には帰します」とだけメール。

残業などしても手につかないのがわかりきっていた俺は、定時そこそこで会社を出て近くのネカフェで時間を潰すことにした。
とはいえ漫画を読んだりネットをする気になれず、その間は今までの嫁との思い出が
頭の中をぐるぐる回っていた。
目を瞑ると、嫁の笑顔が浮かんできた。
ベタだけど、ウェディングドレス着て照れ笑いしてる嫁とか。
それがいま高木の腕の中で、どんな顔でどんな声をあげているのかを想像すると、
苦しいくらいに興奮し、そして同時にますます嫁が愛おしくてたまらなくなった。



我慢出来なくて、トイレで携帯の嫁の待受け写真で一度抜いた。

高木からの報告を待つ間は、大袈裟かもしれないが生き地獄のようでで、泣き叫びたく
なるくらいの焦燥感と同時に、童貞を捨てる直前のような興奮で胸が張り裂けそうになった。
そんな癖はないのに、しきりと何度も爪を噛み、何度か涙も流しそうになった。

しかし高木からはすぐに連絡がきた。
「今京子さん帰りました」
何時間にも感じられたが、まだ6時だった。
飛び跳ねるようにネカフェを出て、家路についた。
でも家の玄関まで着くと、中に入るのを躊躇ってしまった。
ほんの数時間前まで他の男に抱かれていた嫁の顔を、見たくて仕方がなかった。
でも怖くもあった。

どうせ遅くなると言ってあるんだから、報告を聞きついでに、まずは高木と会って
ワンクッション置こうと踵を返した。



「ウチに来てからわりとすぐにやり始めましたよ」
高木は俺に悪いと思ってるのだろう。少し目を逸らしがちにそう言った。
「え、じゃあメシは?」
「一回してから作ってもらって」
「じゃあ嫁のあのメールって」
「2回してましたっけ京子さん。一回目の時はフェラしてて、俺が『入れる?』って聞いたら
『ん』って頷いて自分からまたがってきたんですけど、その途中で『あ、ちょっと待って』って』
「2回目のメールは?」
「実際料理作ってる時だったと思いますよ」
「抵抗無かったのか?」
「料理ですか?」
「いや最初のエッチ」
「抵抗ってほどじゃないですけど、一応軽く手で押さえてきましたね。
それ以外はじっとしてる感じでした。嫌がりもしなけりゃノリノリでもないっていうか
されるがままって感じでしたね」



「出来るだけ詳細頼む」
「ん~、と言っても、まぁわかりました。ウチ来てからはしばらくは普通に喋ってたんですけど、
隣座って肩抱き寄せて少しづつ触ってったりしました。
さっき言ったとおり京子さんはじっとしてるって感じでしたね。
舌入れようとしても口も開きませんでしたし。でも抵抗は無かったです。
キスしながら服脱がせてって、そんで自分のちんこ触らせたら困った感じで笑って
『やだ』って言いつつも軽くジーパン越しにさすってきました。
『直接触って』って言ったらファスナー開けて握ってきて、そんで京子さんの頭
撫でたら、自分からフェラしてきてくれました」
「嫁は何か言ってた?」
「何かとは?」
「いやH中とか、H後」
「いや、ん~特に。というかすいません。質問の意図が・・・」



「いやだから俺よりすごいとか」
「ああ、そんなんはなかったです。普通に『すごい』とか『いっちゃう』とか」
「他には?」
「え、まぁ普通ですよ。『もっと』とか『だめ』とか』

それだけでも俺は射精できそうなくらい興奮していた。
不思議なことに、目の前でそう語る高木に対しても、嫉妬こそすれども
それは憎悪や怒りでは全くなく、むしろ友人としてより共感できる部分が出来て、嬉しく思った。

「2回目も?」
「まぁそうですね。一回戦は口に手を当てて声我慢してたんですけど、二回戦は途中で
『ねえ?声大丈夫?やばくない?』って聞いてきて、『平日の昼間だから誰もいないよ』って
言ったらそっこからは普通に喘いでましたね」
「どんな感じだった?」
「いや、普通に、可愛い声でした」



「で、お前が電話してきたと」
「はい」
「その後は?」
「え~っと、○○さんが京子さんにメールしたんですよね?そしたら
『旦那残業だって。やっぱりどっかのサボりさんとは違うね』って。
『じゃあもう一回しよっか?』
『駄目駄目!もう帰る』
『良いじゃん』
で、服着ようとする京子さんを後ろから抱きしめて、あとは胸揉んだり
キスしてたら、最初は『ちょ、もう駄目だって』って笑ってたんですけど
その内『あっ』って声だして、『もう!』って怒りつつも腰下ろしてフェラして
きてくれて、でもそれでイカされました。途中何度か押し倒そうとしたんですけど
『もう帰んなきゃ・・・』って」



「俺のこととか何か言ってた?」
「いや本当無いですよ。してる時に結構会話振ったりしたんですけどね、基本無視でした。
H後も特に会話って無かったですもん」
「じゃあ帰り際は?」
「いや普通にバイバイって感じでした」
「それだけ?」
「あ~、あっ、玄関でキスしました」
その様子を想像すると、何気にすごくショックだった。
「別れ際なんか言ってた?」
「特には無いですね。次どうこうとかも言わなかったです」
「今からメール送ってみてよ。てか俺が送って良い?」
「ああ、良いですよ」

高木の携帯から嫁にメールを送る俺。
他人の立場から自分の嫁とピロートークをするというのはすごく新鮮で、
性的興奮とは別に、学生時代の恋愛を思い出した。